兼松泰国株式会社様では、2021 年 11 月から翌年 1 月にかけて、リーダー層を対象とした「異文化理解+チームワーク」「考える力強化」「タイムマネジメント」の全三回の研修を行いました。
研修実施を決めた背景、研修に対する期待と不安、受講生が感じていたこと、受講後の社内の様子はどのようなものだったのでしょうか。兼松泰国の溝下社長、沼能副社長、Toey 様、Ploy 様、にお話を伺いました。
(インタビューは 2022 年 3 月に実施)
沼能副社長(以下、沼能):日本の総合商社、兼松株会社 100% 出資の法人です。タイでの設立は 1967 年です。当初は内資企業であるワタナ・インタートレードという会社で事業を行っていましたが、今は事業全てを兼松タイで行うようにシフトしています。事業内容に関しては、本社とほぼ同様のセグメントで、電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空という4 部門があり、各部門で輸出入と、国内向けの卸売りをやっております。人員構成としては駐在員が 6 名、タイ人スタッフが、ドライバー、メッセンジャーを含めて約 30 名ちょっとの合計 40 名ほどの規模です。
沼能:タイ法人では、内部研修を一切行ってきておらず、OJT によるトレーニングがほぼ 100% で、たまに個別のセミナーに個々人が参加する形でした。マネージャー層は本社の研修に年に1回参加しておりましたが、結局、個々人の知識・経験のばらつきが大きいという状況でした。課題としては、同じ言葉で喋れない。僕らが思っていて伝えたい言葉があるのですが、その前提知識をタイ人側がもっていないので、伝えていることが全く響かない・理解できない、という点を課題と感じていました。
沼能:今回の研修では「異文化コミュニケーション」、「ロジカルシンキング」、「タイムマネジメント」の 3 つのスキルをテーマとして取り上げました。同じ目線で喋るために、最低限この 3 つは必要と感じていました。
また、「変化」の必要性も感じていました。日本人からの視点ですが、基本的にタイの方は、「変化をしたくない」という意識が強いと感じています。今まで何十年やってきた同じやり方で、同じようにやることを、良しとしてきた人たちだったので。そこは変えていかなければと思っていました。
沼能:基本的に他の日系企業さんも同じと思いますが、やはり現地化を進めていかないといけないと思っています。「今までと同じことをやっている、かつ日本人の指示に従っていればいいよ」という考え方だと、現地化は当然成立しない。ただ今のままだと、5 年、10 年経っても変わらないなと思っていました。ですので、入口として、少しでも変わるきっかけになればと思っていました。
沼能:基本的に受け身の研修は、効率性があまり高くないと思っていました。双方向スタイルで、アウトプット中心の研修を色々探している中で、営業に来ていただいたのがきっかけです。お話ししている中で、まさにうちが目指していた研修内容に合致する会社だなと思いました。加えて本社でもお世話になっており、本社からも「HRIさんであれば、信頼してお任せできる」と推薦を受けたので、最終的に選ばせていただきました。
沼能:あと加えて、事前に数名に公開型セミナーに参加してもらったのですが、異業種で集まると、抱えている課題が違い過ぎて、話が噛み合わない、議論がまとまらない、というフィードバックも受けていたので、できれば内部でやりたいと思っていました。
沼能:基本的にタイ人スタッフで、喜んで参加したいという人はほぼいなくて、どちらかというと上司からの指示で仕方なく参加します、というスタンスでしたので、、、そこは若干苦労がありました。
一方で、日本人側は、さっき言ったような課題を共有していましたので、自分の部下に受けさせたいと、比較的盛り上がっていました。
沼能:もっと静かな研修になるかなと想像していました。ただ初回の研修を見ていると、比較的積極的に発言するし、先生の方も話を振って発言を引き出してくれているので、ああ、大丈夫だな、とちょっと安心しました。
沼能:徐々にやる気は出てきたのかなと思います。1 回目よりは 2 回目、2 回目よりは 3 回目という形でモチベーションが上がっていったと思います。実際、研修後の面談でも、なんとなく本人の目の輝きが良くなってきたと思います。言っていることも、もっともらしくなってきたし、この研修後に何をやりたいかという点でも、ちょっとずつ前向きな発言は増えてきたのかな、と感じていました。
沼能:私の部署ではタイ人マネージャーとセクションマネージャーの面談に、私も同席しました。ただ英語だと何も発言できなくなるかなと思ったので、タイ語でやってもらいました。上司側にとっても勉強になったと思います。指摘するポイントは、タイ語なので正しくはわからないですが、上司が深掘りのために質問している場面もありましたし、組織がもっと良くなるために、お互いが質問しあって、教えあって、高めあっている、という印象を受けました。加えて、やっぱりタイ語でやってよかったなと思ったのが、「あ、この人、タイ語だとこんなにしゃべるんだ」という、そんな発見が新たな気付きとしてありました。
沼能:あれを見ていないと、コメントシートも書けなかったでしょうし、上司面談の時のコメントもうまくできなかったかもしれないですね。上司の為にもいい研修だったと思っています。
沼能:まさに同じことを思っていました。受講生と上司両方が今回学びましたし、これを繰り返していくことによって、受講生が今後 OJT で部下を指導していくときも、今回学んだことを踏まえて指導できるようになると思います。来年以降研修が無かったとしても、ベースになる知識は根付いていくのかな、というふうに期待しています。
沼能:今のところ、大きく変わったという印象はそれほど感じていないです。ただ一部の人は、報連相の仕方が変わってきたというような、変化があります。Email や、レポート、質問した時の Email の返信は、今までよりはいいものが若干できているかな、という気はしています。
我々としても、これから学んだことを生かせる場をどれだけ提供できるのか、という点が問われていると思います。「気づき」のための、定期的な面談やフィードバックを繰り返していかないといけないと考えています。
沼能:まさにこれから 5 年後、10 年後、弊社の中心人物として、今後入ってくる若手、中堅、後輩たちを指導していって欲しいですし、自分たちが中心となって、新たな事業の創造や業務改革も、日本人抜きでも、進めていって欲しいと思っています。
溝下社長(以下、溝下):総括として、私からも 2 点お伝えします。1 点目は、今回受講生が考えている課題や悩みを率直に書いたメモが非常に参考になりました。今までの上司と部下の関係だけの会話では出てこない情報、全然知らなかった情報を、御社経由で、資料として我々が知ることができました。客観的に判断してくれる第三者、専門家が入ってくれると、こういった非常にいい情報になると思いました。
2 点目は、先ほど「受講生本人だけじゃなくて、上司やその上司、日本人駐在員に対してもメッセージを出されていると」 仰っていましたが、それぞれ響くところがあったと思います。私も最初この研修の内容を見て、これはタイの方だけでなくて、我々日本人も受けないといけないと思ったくらいなので。御社にこういうセミナーをお願いして非常に良かったなあ、というふうに思いました。
タイ人の方々が、「日本人が言うまで黙っていればいいや」とか「言われたままでいいや」となると、今後の発展もないと思うので。ぜひ積極的にリーダーシップを発揮し、我々を引っ張っていってくれるような意識をもっていってほしいな、と思います。
溝下:ありがとうございます。
Copyright © 2024 HRI (Thailand) Co.,Ltd. All rights reserved.